21名のうち12名が学校へ

2023年度利用者が21名になったパルクです。そのうち12名が学校へ行くことになりました。年度途中から学校へ行った子どもや4月から学校へ行こうとする子など、タイミングはさまざまですが、あんなに嫌だった学校に「行ってみようかな。」「行けそうな気がする。」などどいう言葉が聞こえ始め、修了式にはほとんどの子が学校へ出かけていきました。「ランドセルに見向きもしなかった子がランドセルを背負って学校へ出かけて行った。」という保護者の声が多数寄せられました。

これも、これまで多くの体験活動にご協力くださった企業のみなさま、ボランティアのみなさまのおかげと感謝しています。いろいろな立場の方と多様な活動を経験し、多くの大人と出会い、「心の元気」を回復させた子どもたちは自然と学校へと向かいます。本当は学校へ行きたかったのだと思います。その晴れやかな顔をみると、時間がかかっても子どもが安心できる場と心を回復できるカリキュラムがあれば、前進できると実感しています。

まだまだパルクを必要としている子がたくさんいます。そんな子どもたちにまたたくさん出会えたらいいなと思います。「こんな経験ができて不登校になってよかった」と思えるように支援を続けていきたいと思います。

不登校支援センターパルク

一般社団法人パルクの代表理事をしております小田原かおりです。

令和4年9月「不登校支援センターパルク」を立ち上げました。不登校で家の中で過ごすことが多い小学生の子どもを対象に,居場所を作り,学校へ自分の力で復帰することを目指しています。

これまで36年間教育に関わり,そのうち9年間は小学校の校長を勤めてきました。子供たちを取り巻く課題は多種多様で悩みのない子どもはいないというのが私の実感です。もちろんそれが子どもというもので,それがあるから成長するという大切な経験です。失敗や成功を繰り返しながら少しずつ成長していきます。その過程を支援し,成長を見守るのが周囲の大人の役割ということになります。

子どもたちを取り巻く課題の中で,不登校に関する悩みが年々増加しているというのが現場での実感です。その原因や要因は見えにくく,学校も保護者も何が正解なのかわからず対応に苦慮していることが多いのです。

もちろん,学校や行政も工夫しながら不登校に取り組んでいます。教室に入りにくい子どもたちのために,別室指導や保健室登校,公民館などに指導員を配置した適応指導教室(ふれあい教室)。さらにはスクールカウンセラーによる相談体制やスクールソーシャルワーカーによる連携。担任や生徒指導主事等により家庭連携。一人一人を大切にしながら様々な取り組みを展開しています。

それでも増え続ける不登校をさらに加速させているのが新型コロナウイルスです。人との距離を保ち,感染症対策に常に緊張感がある世の中の不安感が子どもたちをさらに不安にさせます。今は感染症対策のため本人や同居家族に風邪症状があれば出席停止として学校を休み,欠席にはなりません。不登校傾向の子どもは腹痛や頭痛を訴えることが多いので出席停止扱いになることが多くあります。学校が遠いものになっているという感覚は学校にいるどの教職員にも共通した感覚だと思います。

そんな中,欠席でカウントしないことが多いのに不登校の数が増えているのが現状です。新型コロナウイルスが収束して,欠席でカウントするようになればさらに不登校の数は増えていくのではないかと懸念しています。

不登校になってしまった小学生は,一人で留守番することが多くなります。保護者が仕事のため,少し調子がよくなったからといって,一人で途中から学校に行くことが安全面から難しいことと,途中で帰るときには保護者の迎えが必要となって,柔軟な対応ができにくいことがあります。さらに,その対応のために仕事が続けられなくなるなど,家庭が疲弊していきます。その中で,不登校になってしまった子どもは,「自分が家族に迷惑をかけている。」「もう将来のことなんて考えられない。」「どうしたらいいのかわからない。」といった混乱状態になって学校に行かないことに苦しんでいるのです。無理やり登校させることでさらにその罪悪感は募っていきます。「学校に行けないことは悪いことなんだ。」という価値観を押し付け,さらに「誰も自分のことをわかってくれない。」という孤独感も与えてしまいます。

不登校支援センター「パルク」では,そんな子どもたちの居場所をつくり,そこで個に応じた学習支援や体験活動を中心としたカリキュラムを行うことで「心の元気」を回復させ,学校復帰することを目標としています。何年かかっても「心の元気」を取り戻せば子どもは学校という社会へ戻っていきます。これまで,少し時間はかかるけれど,心にエネルギーを充電して教室に帰っていく子どもをたくさん見てきました。小学生のうちに,この少し遠回りと思われる経験をして回復していけば,もしかしたら中学校の不登校が防げたのかもしれないと考えています。これまでの私の経験を生かして,じっくり子どもに向き合い,一人でも多くの子どもたちが自分の「キラリ☆」を見つけ,元気になっていくことを願って不登校支援センター「パルク」を設立しました。

プロフィール

一般社団法人パルク
代表理事 小田原 かおり

経歴
安芸郡府中町立府中緑ヶ丘中学校 教諭 (国語)
安芸郡熊野町立熊野第一小学校 教諭
賀茂郡黒瀬町立下黒瀬小学校 教諭
安芸郡熊野町立熊野第四小学校 教諭
呉市立五番町小学校 教諭
呉市立呉中央小学校 教諭
呉市教育委員会 学校教育課 指導主事
海田町教育委員会 学校教育課 課長
安芸郡熊野町立熊野第三小学校 校長
安芸郡熊野町立熊野第二小学校 校長
安芸郡府中町立府中南小学校 校長

所有資格
教員普通免許状 【小・中(国)・高(国)】

公認心理師


カリキュラム

本人の「強み」を知り,それを伸ばすための個別のカリキュラムを一緒に考え,実施します。

ご利用の流れ

子ども本人から現在の様子について伺い,見学・体験を通して一緒に考えていきます。

お問い合わせ

不登校相談のみ(小中学生)も受け付けています。お問い合わせフォームからお申し込みください。